尖閣諸島周辺の領海で日本漁船を追尾した中国海警局の巡視船
=4月10日(金城和司さん提供)
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中国とロシアが結託して、日本周辺の海や空で威嚇を繰り返している。日本は警戒を強め、国を守る態勢を強化しなければならない。
中国海軍とロシア海軍のフリゲート艦各1隻が4日、相次いで尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域へ入った。
中露海軍の艦艇が同じ時間帯に尖閣の接続水域を徘徊(はいかい)するのは、平成28年6月以来だ。今月5日には中国海警局の船が尖閣周辺の領海に侵入してきた。海警船は日本漁船に接近してきたため、海上保安庁の巡視船が漁船を守った。
政府は中露両国に対し、外交ルートで重大な懸念を伝え、抗議した。中国海警船が領海侵入を繰り返すなど高い緊張下にある海域での中露の軍事活動は、偶発的な衝突の危険さえはらんでいる。
見過ごせないのは、ロシアによるウクライナ侵攻以来、中露両国が足並みをそろえ、日本を威嚇していることだ。
5月には中露両空軍の爆撃機が日本海を編隊飛行した。
6月には両国海軍の艦船が、それぞれ日本列島を周回した。その際、ロシア海軍の7隻は千葉県犬吠埼沖約180キロまで近づいて航行した。日本を軍事的に恫喝(どうかつ)したつもりなのだろう。
習近平政権の中国はウクライナ侵略を非難せず、ロシア寄りの姿勢が問題視されている。それに加えて、侵略国ロシアと協力して、日本を標的にした軍事的な威嚇をためらわない。極めて異常なことである。
中国の習国家主席とロシアのプーチン大統領は2月、「(中露の)友情に限りはなく、協力に禁じられた分野はない」とする共同声明を発し、結束を誇示した。
岸田文雄政権は中露両国に強く抗議し、陳腐な軍事的威嚇で日本の外交姿勢が変わることは決してないと教えるべきだ。
さらに、国際社会に対して、軍事的恫喝を重ねている中露の行状を説明し、両国の危険な行為を容認しない国際世論を醸成していかなければならない。7日からインドネシア・バリ島で20カ国・地域(G20)外相会合が開かれる。林芳正外相はこの場で、中露を正面から論難してもらいたい。
防衛力の強化も急務だ。岸田首相には、「力の信奉者」である中露を抑止するための具体策を講じる責務があるからだ。
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2022年7月7日付産経新聞【主張】を転載しています